かつて中国の農業は、日本より規模が小さく、技術も遅れていると見られてきた。だが、現実には、ドローンや人工知能(AI)の活用で日本のはるか先を行っている。「儲かる農業」を実現するために中国から学ぶことは多い。激変する中国農業の現場を上下2回にわたってレポートする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)
中国・広東省広州市の高級ホテルの宴会場に、中国の農業を変える1000人超の若者が集まっていた。
彼らは中国農業用ドローン最大手、XAGの社員や販売代理店の責任者たちでほとんどが20代だ。それもそのはず、イベントのホスト役であるXAGの社長が36歳、社員の平均年齢が27歳という若い会社なのだ。
同社のドローンはボタン一つで自動飛行して農薬を散布し、農薬使用量を3割減らせる。将来的には、上空から種をまいたり、空撮した画像を解析して除草剤や肥料を最適化したりして農業を激変させる可能性を秘める。
熱気に包まれたホテル会場で、中国各地でのドローンの飛行状況(写真上)や、バッテリーの性能を改善した新型ドローン(写真下)が発表されると参加者らの野太い歓声が上がる。