中国の都市住民が豊かになったことは知られているが、農村部は「いまだに貧しい」「遅れている」といったイメージが付いて回る。しかし、農業の現場を取材すると、中国の若手農家は抵抗感なくテクノロジーを受け入れ、経営を革新していることが分かった。(「週刊ダイヤモンド」編集部・千本木啓文)

>>前編『ドローンが変える農業、中国はとっくに日本の先を行く』から読む

家畜のアヒルの群れを操る男性家畜のアヒルの群れを棒一本で操る男性。中国の農村には昔ながらの暮らしが残っている Photo by Hirobumi Senbongi

 北京市、上海市と並ぶ中国三大都市の一つ、広東省広州市の中心部から車で1時間30分ほど走ると、スーパーもコンビニもない農村の風景が広がる。

日本の農家より儲かっている「中国ドローン農家」の働き方ロープに掛けられた豚肉(ベーコン)と魚(干物)。スーパーに並ぶ商品とは違う迫力がある Photo by H.S.

 車がすれ違うこともできない狭い路地を進むと昔ながらのレンガ造りの家々が並ぶ集落に入る。アヒルの群れが歩いていたり(写真上)、豚肉や川魚が干されていたり(写真右)と、あまりの牧歌的風景にタイムスリップしたかのように感じる。

 農業用ドローンを使った農業に取り組むレモン農家、郭建華さん(24歳)の農場には、伝統的な暮らしの中にソーラー発電の電灯などが混在していた。ドローンに限らず新しいもの好きな一家なようだ。

 バンズのスニーカーにナイロンパンツをはいた郭さんはクールな青年だが、経営拡大に向けて静かに闘志を燃やしていた。