中国経済の落ち込みは
メインシナリオ

 海外に目を転じると、中国経済は「米中貿易戦争(実際には冷戦)」により落ち込むだろう。米国は、中国と覇権めぐって争い、中国経済を弱らせるべく関税引き上げなどの諸政策を断行しているからだ。

 もっとも、それが日本経済に大打撃になるかといえば、過度な懸念は不要だと思われる。

 米国が中国から輸入している物は、他の途上国から輸入されることになるため、他の途上国の景気はむしろ拡大する。あるいは、一部は日本からの輸入に振り替わるかもしれず、そうなれば日本が漁夫の利を得ることになるだろう。

 以上がメインシナリオだが、以下には、「おそらく発生しないであろうが、仮に発生した場合には日本経済に大きな影響が生じかねないリスク」について論じることにする。

 日本経済のリスクシナリオを考えるという視点で世界を見渡したとき、最も現実的なのは中国経済の劇的な悪化であろう。米中対立は、お互いが妥協せずに突き進んだ場合、不測の事態に突入する可能性があるからだ。

 カナダが、中国企業ファーウェイの副会長を逮捕した件に対する報復とみられる動きが中国で見られたが、もしかするとそれがリスクシナリオの前兆なのかもしれない。

 米中が、お互いに相手国人をスパイ容疑などで逮捕することになれば、逮捕されるリスクを避けるために米国人は中国から去り、中国人は米国から去るだろう。その動きがあまりに急だと、両国経済に大きな混乱をもたらす可能性がある。

 そうした動きの一環として、米国企業が大量に中国から撤退することも考えられる。撤退した企業は、他の途上国に工場を建てて、中国での生産活動を代替するだろうが、「代替工場が立ち上がってから撤退する」という順序が踏めないほど急な撤退になるとすると、世界経済の生産が一時的に大きく落ち込む可能性が出てくる。