日本人、日本社会向けの対応策が
完全に欠落している

 こうしたことから分かるのは、政府は「共生」や「共生社会」なるものについて、日本人と外国人が社会で一緒に暮らすということ以上に具体的なイメージや将来像がないであろうということだが、もっと深刻な問題が浮かび上がってくる。

 それは、この対応策は外国人、「外国人材」向けのものではあるが、日本人や日本社会向けのものではないということだ。すなわち、日本人や日本社会、地域社会への影響を防止するか低減させるための対応策は完全に欠落しているということである。

 本来であれば、まずそれを考えなければならないはずであるし、「外国人材」向けの対策と対になり、両輪となっていなければいけないものだ。

 ところが、そうなっていないということは、片輪走行で進もうとしているのと同じであり、そう遠くないうちにバランスを崩して破綻することが予定されているようなものである。

 しかも、「外国人材」受け入れによる日本人や日本社会への影響は、労働環境に関するものの他、生活習慣、文化、宗教等に関するものまで幅広く、どこまで広がり複雑化するのか、この段階であらゆるものを想定するのは困難であろう。

移民法が成立してしまった以上
対応すべきことは何か

 そうであるからこそ、早い段階からの検討、過去の事例の分析・検証等が必要だったわけであるが、先の検討会ではそうした議論は行われてこなかったようだし、移民法の国会審議でも、私の知る限り、そのような議論はなかった。