100万円のワインの対抗馬として出された
5000円のワインとは?

 では、その対抗馬として出された5000円のワインとは何だったのでしょうか。番組では、このワインについては「フランス・ボルドー産」であること以外は明かされませんでしたが、一流芸能人たちを悩ませるその味わいに「このワインはいったい何なんだ?」と思った方も多かったようです。

 もちろん、その正体は番組関係者のみが知るところですが、1959年のムートン・ロスチャイルドの特長を考えると、いくつかその候補があがってきます。

 本命として考えられるのは、ムートンと同じ産地ポイヤック村の「シャトー・ペデスクロー」です。シャトー・ペデスクローは、1855年のメドック格付けで5級に選ばれたものの、長年低迷していたシャトーです。しかし最近では、2009年に新しいオーナーを迎え、恵まれたテロワールを最大限に生かした息の長いワイン醸造に着手しています。

 シャトー・ペデスクローのワインは、ムートンと同じくパワフルなタンニンを多く含みます。しかし、1959年のムートンに比べると、まだ若いワインのために渋さと硬さが残っていたと思います。そのため、おそらく番組のテイスティングの際には、ダブルデカンタを行い、まろやかさを引き出してムートンにも負けない芳醇な果実味を醸し出していたのではないかと想像が膨らみます。

 同じくメドック格付けで2級に輝いたシャトーデュルフォール・ヴィヴァンのセカンドワイン「ル・ルレ・ド・デュルフォール・ヴィヴァン」も良心的な価格で本格的なボルドーを堪能できる1本であり、その候補にあがります。「ル・ルレ・ド・デュルフォール・ヴィヴァン」の2008年産や2009年産はすでに熟成がピークに達しているため、1959年のムートンと同じくタンニンがまろやかに変化し、古典的なボルドーの味わいとなっています。

 ちなみに、番組で出されたボルドー産ワインではありませんが、ボルドースタイルを極めるカリフォルニア・ナパのワインにも、ボルドー5大シャトーを彷彿させる中堅クラスのワイナリーが数多く存在します。パーカーポイントの評価も高い「ラ・ホタ」「エチュード」「ベリンジャー」「ルイ・M・マティーニ」などは口当たりがまろやかで飲みやすく、バランスもよいため、高級ワインとのブラインドテイスティングにもよく選ばれる銘柄です。