「妊婦税」「少子化に逆行」と批判を浴びた医療費の妊婦加算「凍結」は正しい判断だったのか?
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 昨年秋、SNSのつぶやきが発端となって炎上し、社会問題化した「妊婦加算」が、今年1月1日から凍結された。

 妊娠している女性を診療する場合は、母体や胎児への影響を考慮して、使用する薬剤などに注意を払う必要がある。妊婦加算は、そうした医療機関の配慮や労力を適正に評価するために、2018年度の診療報酬改定で新設された。

 しかし、SNSへの書き込み、それを後追いする新聞やテレビの報道では、コンタクトレンズの処方など妊娠していない人と同一の診療で妊婦加算がとられたり、ふつうに診察を受けたのに会計時に妊婦だとわかって加算されたりしたケースが紹介され、制度に対する疑問が噴出。「実質的な妊婦税」「少子化対策に逆行」といった批判が展開された。

 こうした世間の雰囲気に乗じて、小泉進次郎氏が部会長を務める自民党の厚生労働部会は、妊婦加算を激しく追及。連立を組む公明党の厚生労働部会からも見直しの要望が出された。

 厚生労働省は、制度の周知徹底、適用範囲を厳格化することなどで対応を試みたが、政治側からの強い要望で、結局、妊婦加算は凍結されることになった。

 凍結によって、妊婦の医療費負担が軽くなる。そのことに異を唱える人はいないはずだ。反面、医療機関の収入は減る。経済原理から見れば、丁寧な医療の提供に適正なコストはつきもので、今回の凍結はそれを否定したことになる。果たして、妊婦の健康を守る上で、妊婦加算の凍結は正しい判断だったのだろうか。

2018年度の診療報酬改定で
民主的な手続きを経て新設

 病院や診療所で受ける医療のほとんどは、健康保険が適用された「保険診療」で、その医療行為や医薬品などの価格は一つひとつ国が決めている。

 保険診療の価格は「診療報酬」と呼ばれ、原則的に2年に1回、その時々の物価や賃金水準、必要な医療体制を考慮しながら改定される。

 診療報酬改定の手順は、まず、内閣がその年の国家予算からどのくらい医療分野にお金を回すかという改定率を示し、厚生労働省に設置された社会保障審議会の「医療部会」「医療保険部会」という組織が改定の基本方針を決定する。