通勤風景写真はイメージです Photo:PIXTA

古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第27回では1964年製作の『君も出世ができる』、2009年製作の『のんちゃんのり弁』、を取り上げつつ、政府が進める「働き方改革」の論点を考えます。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

社会保障と不可分な
「働き方改革」

 政府は今、「働き方改革」を進めています。安倍晋三首相は2016年8月、▽長時間労働の是正、▽同じ職場における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を解消する「同一賃金同一労働」の実現、▽非正規雇用者の待遇改善——などに取り組むことで、「働き方改革」を進めると表明しました。

 その後、政府が2017年3月に定めた「働き方改革実行計画」によると、同一労働同一賃金の導入や柔軟な働き方を可能とする環境整備、子育て・介護と仕事の両立、高齢者の就業促進などの必要性を指摘しており、2018年の通常国会では働き方改革推進関連法も成立しました。こうした経緯を見ると、働き方改革は社会保障政策ではなく、産業政策の側面が強いかもしれません。

 しかし日本の社会保障制度は、雇用とリンクした社会保険方式を中心としており、国民の働き方は社会保障制度と不可分な関係にあります。実際、働き方改革の本を読むと、必ず年金、医療など社会保険方式の見直しの必要性に言及しています。