三菱電機が、社員3万人中1万人に適用していた裁量労働制を今年3月に全廃していたことが明らかになり、波紋が広がっている。
経団連の老舗企業にして現副会長を送り出している三菱電機が、政府の「働き方改革」と連携し裁量労働制の拡大を求めてきた経団連の考え方を真っ向から否定する格好になったからだ。
全廃の背景には、裁量労働制で働いていた社員の過労自殺や長時間労働による労災認定がたて続けに起きたことがあるとみられる。
制度導入時から、残業代をもらえず長時間労働を強いられる制度として、連合などが反対していたが、政府が言う「新しい時代に合った働き方」は「幻想」にすぎなかったと、企業の側も認めざるを得なかったということなのだろうか。
裁量労働制社員の相次ぐ
過労自殺や労災が発覚
これまでにわかったのは、三菱電機で2014年から17年だけで5件が長時間労働による労災を認定され、うち3件は裁量労働制を適用された社員だったことだ。