働き方改革が生む「超格差社会」の波に乗る自信はあるかPhoto:PIXTA

働き方改革や、副業、週末起業、パラレルキャリアなどの言葉を頻繁に耳にするようになった。実際、多くの企業が旧態依然とした勤務体系を見直し始めている。この変化のたどり着く先はどこなのか。筆者は会社員生活10年ののち、独立し法人を持ちつつ、CFOや顧問の業務や執筆業をこなすが、自身の経験も踏まえると、働き方改革には二面性があり、十分注意してもらいたいと思う。手放しで働き方改革を肯定してしまうと、キャリア形成を台無しにしかねない。(株式会社マネネ 代表取締役社長CEO 森永康平)

既に変わりつつある勤務体系、雇用体系

 総務省が8月31日に発表した7月の労働力調査によれば、役員を除く雇用者数は5626万人だが、そのうち非正規の職員・従業員は2103万人と前年同月比で35万人増えており、全体の37.4%に上る。これだけを見ると、正社員になるのが難しくなり、格差が広がっているというようにとらえられ、これまでそう報道されていた。

 しかし、同月7日に同じく総務省が発表した4~6月の労働力調査(詳細集計)によると、非正規で働く主な理由で最も多かったのは「自分の都合のよい時間に働きたいから」というものであり、全体の約3割を占めていた。その他の理由は「家計の補助・学費等を得たいから」や、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」である。「都合の良い時間に働きたい」という意向には、個人が働き方を積極的に選択していることが窺え、非正規であることを「選択」している向きがある。