実は冒頭の出来事は、この収益モデルを支える原体験の一つだ。

 80年代後半当時。山本が支店長を務める可部支店で1億円以上貸し付けた企業が突如、不渡りを出した。そこから、冒頭の張り込み騒動につながるわけだ。

 山本は後日、預金通帳などの回収も終えた。さらに幸運にも、その企業が他社に買収されたことで、広島市信組には「1円も損失が発生しなかった」(山本)という。

 だが、こうした倒産寸前の企業への対応は、相当な労力を要することを痛感した。