自分の実力以上に
会社が成長すると……

「残念な中途社員」が生まれる別のパターンとしては、急成長中のメガベンチャーでよく見られるものがあります。それは「本人の実力以上に会社が大きくなった」というものです。そもそも急成長を始める前のベンチャーは、優秀な人材の獲得が困難です。

 ただ、社内にあまり力のある人材がいなくても経営者が優れた能力を持ち、手掛けているビジネスが時代のニーズにうまくはまると会社は成長するので、このような状況が起こります。

 本人の実力以上に会社が成長していった結果、〇〇部長という肩書でも事業戦略を描いて実行するような力量はなく、ただ人のよさだけで仕事をしているような人が出来上がります。こういう人は昔も今も存在し、肩書や経歴は立派に見えるかもしれませんが、やはり外部に出て活躍するのは困難です。

 これは能力そのものが期待とずれているパターンです。

 また、急速に成長したベンチャーでは若くして偉い立場になる人が出てきます。それは本人にとって非常によいことかもしれませんが、下手に偉くなりすぎると落とし穴もあります。偉くなると部下や秘書に任せて自分でやらなくてよい仕事がいっぱい出てくるのですが、転職先ではそれらの仕事を自分でやらなければならず、そのギャップがなかなか埋められないというパターンです。

 わかりやすい例でいえば、自分でパワーポイントを作成できないためプレゼンに支障をきたす、あるいはエクセルで資料作成ができないといったことです。部分的に必要なスキルが欠けているパターンと言ってもよいでしょう。

 自分から足りないところを察知し、できるだけ早くチューニングして期待とのギャップを埋められる人はよいのですが、そこが鈍くて立ち上がりが遅いと「パワポも使えない残念な中途社員」と周囲の目には映ります。