ビル・ゲイツ氏写真:ユニフォトプレス

――筆者のビル・ゲイツ氏は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同会長

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 テクノロジーには大成功と大失敗しかない。ほとんどは大失敗だ。私はテクノロジー投資が常に10%の確率で成功すると踏んでいた。それは大変な成功を収めるはずだ。だが残りの90%はしくじるだろう。

 マイクロソフトという最初のキャリアから、第2のキャリアである慈善活動に身を移したとき、私は自分の投資の成功率がさほど変わるとは思えなかった。今度の投資先は貧困や病気を減らすための新たな手段を探ることだ。私の見立てでは、新しいワクチンを発見することは、新しいユニコーン(評価額が10億ドル以上の新興企業)を見つけるのと同じくらい難しそうな気がした(実際はワクチンの方がはるかに難しいのだが)。

 ところが医療関連の投資を20年続けた結果、私に驚きをもたらした投資がある。新しいワクチンや新しいテクノロジーへの投資とは異なり、これは極めて成功率が高いのだ。世界の医療関係者は「資金支援と医薬品供給(financing and delivery)」と呼んでいる。数十年前までは有望な投資先ではなかった。だが今や必ずと言っていいほど著しい成果を生み出す。

 疾病との闘いでは、画期的進歩(例えば新薬の開発など)に大きな関心が集まる。それは正しい反応だろう。ペニシリンやはしかワクチンのような技術革新は、何億人もの生命を救うことになったのだから。