「1000年経っても恨みは消えない」と大統領が発言するほど歴史に呪縛され、現実が見えなくなってしまっているどこかの国と、同じ愚を犯すべきではありません。

「すべてのクリル諸島(千島列島)が第二次世界大戦の結果、ロシア領となった。北方四島もこれに含まれる」というのがロシアの公式見解です。これに対し、「千島列島は放棄したが、北方四島はこれに含まれない」というのが日本政府の公式見解です。

日本とロシアは
どこで妥協すべきか?

 戦争を伴わない外交折衝では、一方の全面譲歩はあり得ません。ロシア側の「ゼロ島返還」と、日本側の「四島返還」との中間で妥協するしかありません。このことを、政府は国民に周知すべきです。

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米国はこの先衰退していくのか、ロシアや中国などの地域覇権国家はどのようにして力を持ったのか――。相手国の考え方や世界のルールを熟知すれば、近未来予測も可能になります!

 具体的には、歯舞・色丹の「二島返還」あるいは「引き渡し」+αが現実的な選択でしょう。+αは具体的には、国後・択捉周辺海域での漁業権、レアメタル・メタンハイドレートなど海底資源の共同開発、日本人がビザなしで往来できる経済特区の設置など、方法はいくらでもあります。

 プーチンが危惧しているのは、引き渡した北方領土に日米安保条約が適用され、米軍基地が置かれるのか、という問題です。宗谷海峡を抜けるロシア艦隊は、択捉・国後間の国後水道を通って太平洋に出ます。色丹島あたりに米軍基地ができると、目障りなのです。

 これについては、日・露・米の3ヵ国が軍事協定を結び、日米安保条約がロシアを仮想敵とせず、返還領土に軍事基地を置かない、と明文化する必要があるでしょう。国後・択捉のロシア軍基地をこのまま存続させる、というアクロバティックな協定も、トランプ政権なら容認するかもしれません。

 プーチン大統領の任期は2024年まで。安倍自民党総裁の任期は2021年まで。両者はすでに20回以上もトップ会談を重ねました。トランプ政権も来年2020年に、大統領選挙の洗礼を受けます。もし民主党大統領が誕生すれば、「ロシア包囲網」が復活します。

 2019年、ロシアと日本の領土問題に、ケリをつけるべき段階に入ったように思います。