米中のハイテク覇権争いが激化の一途を辿っている。1月18日、渦中にある中国・情報通信機器メーカーの華為技術(ファーウェイ)の創業者、任正非(レン・ジェンフェイ)・最高経営責任者(CEO)が、週刊ダイヤモンドなど日本メディアの取材に応じた。任氏が日本メディアのインタビューに登場するのは初のことだ。インタビュー時間は約90分。米国が最も警戒する企業、ファーウェイの総帥がついに反撃の狼煙を上げた。(『週刊ダイヤモンド』編集部・浅島亮子)

中国政府にデータ提出を
要求されても応じない

──米国の対中強硬路線や各国によるファーウェイ製品の締め出し、中国政府によるスパイ疑惑など、ファーウェイは「ブラック・スワン(予測できない衝撃的なショックを示す経済用語)に直面している状況だ。なぜ、このタイミングでメディア取材を受けることにしたのか。何を訴えたいのか。

任正非・ファーウェイ創業者・最高責任者
中国広東省の深センにあるファーウェイ本社でインタビューに応じる任正非CEO。メディアの質問は、中国政府のスパイ活動への関与やファーウェイと中国共産党との関係性に集中した Photo by Fusako Asashima

 なぜメディアの取材を受けているかといえば、渉外本部から無理強いされたというのもあります(笑)。

 このような逆風の時こそ、18万人のファーウェイ従業員にもっと自信を深めてもらい、問題に正面から向き合い、今後も努力してほしい。世界にポジティブなことを情報発信することで、顧客や消費者の理解を得たいという思いもあります。

──2017年に中国で「国家情報法」が制定された。中国国家の安全強化のためならば、国内外の「情報工作活動」に法的根拠を与える法律だ。ファーウェイが自社製品のサイバーセキュリティーの確保をどれだけ強化したとしても、中国企業が中国政府・共産党の指導に背くのは難しい。ファーウェイは、外国や外国企業から得た機密情報の提出を中国政府・共産党から求められた場合に、拒絶できるのか。また、中国国内法や中国政府に従って適切だと判断すれば提出することもあり得るのか。

任 ファーウェイの安全性セキュリティーに関する取り組みについて申しますと、これまで30年間にわたって170ヵ国以上で30億人の人々に製品・サービスを提供してきましたが、何も問題がなかったと自負しています。

 仮に、中国政府からデータを提出するよう要求があったとしても、ファーウェイが応じることはありません。われわれとしては、ファーウェイの価値観「顧客志向」を忠実に実行していくのみだと思っています。お客様の利益を中心に据えて、お客様の利益を反することはやらないということです。データの提出はこれまでもありませんし、将来求められたとしてもやりません。