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【おとなの漫画評vol.13】
『銃夢-GUNNM』
全9巻 1991~1995年
木城ゆきと 集英社
『新装版 銃夢-GUNNM』
既刊4巻 2019年1月現在
木城ゆきと 講談社
28年の時を経て実写映画化
制作・脚本はなんとジェームズ・キャメロン
銃夢と書いて「ガンム」と読ませる。奇妙なタイトルだ。1991年から95年まで「ビジネスジャンプ」(集英社)に連載され、単行本も同時期に発売されている。あれからなんと28年、長大な続編が現在まで続いているが、とくに初期のこのシリーズ9巻が世界的な評価を得ているという。
なにしろ、アメリカのジェームズ・キャメロン監督がプロデューサー兼脚本家として実写映画化し、まもなく2月22日には日本でも公開されるのである(監督はロバート・ロドリゲス)。実写といっても、キャメロンの代表作である「アバター」の方法で、パフォーマンス・キャプチャーのCGと実写を統合して限りなく原作漫画の世界を再現しているのだそうだ。
原作の集英社版全9巻はとっくに絶版品切れだが、現在は講談社から「新装版」が刊行の途上にある。版元が変わった背景にはいろいろな出来事があったようだが、美しく造本された新刊として出版されつつあるのは、読者としてはうれしい。
遠い未来の架空の惑星が舞台
絵はリアルでどぎついが「透明感」も
本作の舞台は遠い未来、架空の惑星である。頭上には空中都市ザレムが浮かんでいる。ザレムは惑星の地上とパイプでつながっている。パイプでザレムへ物資が送られ、ザレムからは大量の廃棄物が吐き出されて地上に山を成している。
空中都市の住民は特権階級で、廃棄物の地上に暮らすのは下層階級という設定だ。この廃棄物でできた19世紀のような地域を「くず鉄町」という。