大幅赤字でトップを50代に刷新
弱電系3社は経営を建て直せるか?

 2012年3月期に大幅な赤字に追い込まれた弱電系電機メーカー3社は、それぞれ経営者を交代して経営の建て直しを図ることになった。

 ソニーでは、ハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO)が退任し、平井一夫副社長が社長兼CEOに就任する。パナソニックでは大坪文雄社長が会長となり、津賀一宏専務が社長に就任する。また、シャープでは、片山幹雄社長が会長に退き、奥田隆司常務が社長として経営を担うことになる。

 今回の社長人事については、赤字決算の責任を取って経営陣が刷新されたとの見方がある。しかし、わが国家電メーカーを取り囲む経済環境は一段と厳しさを増しており、“経営陣の刷新”などという流暢なことを言っていられる状況ではない。

 すぐにでも、「不採算部門のテレビ事業をどうするか」「中国・韓国のライバルと戦うための新製品の開発」などの問題を突きつけられている。今回選任された新経営者がこれらの問題に有効な解答を提示できないと、ライバル企業の激しい追い上げなどによって、中長期的に企業としての存続が危うくなることも考えられる。

 ただ、ソニー、パナソニック、シャープは、テレビという共通の不採算部門を抱える一方、ビジネス環境は少しずつ異なっている。シャープは世界最大のEMS企業である鴻海(ホンハイ)グループと資本提携し、欧米型複合企業を目指したソニーでは金融部門が稼ぎ頭になっている。

 パナソニックは、家電製品を中心に一部電子部品などのデバイスへ事業展開をしている。問題は、どのような経営戦略に基づいて、事業分野を結びつけて収益を上げられる組織に再生するかだ。それは、間違いなく企業戦略=経営者の仕事だ。