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店内BGMでおなじみだったUSEN(旧大阪有線放送社)が今、外食企業の「店舗DX支援」でグループ随一の高収益を出している。IT企業がひしめくDX市場で、なぜ“元祖音楽配信会社”の同社が存在感を示せるのか。強みの源泉と、二極化が進む外食DXのハードルとは?連載『外食バトルロイヤル』の本稿では、店舗DX事業大手のUSEN代表取締役社長の貴舩靖彦氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)
祖業を生かしたDX支援事業
今やグループトップの利益率
日本の外食産業は今、食材などの仕入れ価格の高騰と、人手不足に苦しめられている。大胆なコスト構造改革に着手しなければ、営業赤字に陥ってしまう。
そこで外食企業は利益確保に向けて、DX(デジタルトランスフォーメーション)やロボティクスによる効率化を急ピッチで進めている。配膳ロボットを導入し、少ない人数で店舗を運営する手法は、その代表的な例だ。
実はその黒子として、意外な企業が存在感を増している。それがU-NEXT HOLDINGSの子会社であるUSEN(旧大阪有線放送社)だ。
USENといえば、店舗BGMなどの有線放送事業を思い浮かべるだろう。しかし現在の同社は、外食企業への店舗DX支援事業にシフトしており、USENが大部分を占める“店舗・施設ソリューション”セグメントの売上高は2025年8月期で970億円に到達。営業利益率は16.9%と、グループ全体で最も利益率が高い事業の柱となっている。
ここ数年、DXは外食企業に限らずあらゆる産業で進められている。千載一遇のチャンスとみて、IT企業やコンサルティング会社が一斉に支援事業を展開している中で、なぜ“元祖音楽配信会社”ともいえるUSENが、店舗DX支援事業で高収益を上げられるのか。USENの貴舩靖彦社長に、その理由を聞いた。
大手と個人店には大きな差が
「まだまだ導入は進んでいない」
――グループ内で貴社が手掛ける“店舗・施設ソリューション”を含むセグメントは、営業利益率が26年8月期第1四半期では19%を超えており、コンテンツ配信事業などその他のセグメントに比べておよそ2倍となっています。この要因は?
一つはARPU(1契約当たりの売り上げ)が高いことにあります。一つの店舗に対して、POS(販売時点情報管理)レジや配膳ロボットなど複数の商材をパッケージで導入いただいているからです。
また、当社は外食DXに加えて、祖業である音楽配信事業も依然行っています。この事業は、全て自社で完結しているため中間マージンがなく、利益率が非常に高い。この収益基盤の上にDX事業が乗っている構造が、高い利益率の理由です。
――貴社は60年以上前に音楽配信事業会社としてスタートしました。なぜ店舗ソリューションを始めたのでしょうか。
六十数年前から音楽配信事業をやってきましたが、音楽事業を行う中で、店舗のお困り事も吸い上げていました。そうする中で、音楽配信だけではなく他のサービスでも外食企業に寄り添えるのではないか、と考えたのが始まりです。最近の飲食店においては人手不足の課題が大きいので、店舗DX事業の方にさらにかじを切りました。
――DX支援は、IT企業やコンサルティング会社なども提供しています。USENのDX支援である店舗ソリューション事業の強みは何でしょうか。
音楽配信企業から、「店舗ソリューション企業」へと変貌を遂げたUSEN。高収益を支える同社の「強み」と、貴舩社長が危惧する外食DXの「ボトルネック」とは何か。次ページでは、飲食店が生き残るためのリアルなDX戦略の現在と未来を深掘りする。







