そのように活動を始めると、相談に訪れた社員が、「キャリアコンサルティングって人事部に悪い情報を集めたり、退職させられたりするものではない。落ち着いて振り返ったり、これからのことを前向きに考えたりするチャンスをくれる場所だ」と周囲に言ってくれることが期待できます。

 社内で認知されるのに時間がかかることは、やむを得ないところです。

 最初から「アンテナ機能」があります、と宣言するようなことではなく、目指すべき一つの機能と捉えていただけば、キャリアコンサルティング組織の開設時に理想を追いすぎて悩む必要はありません。

経営層や人事部でも、過去には「あの人のところに行くと何でもわかる」ということがあった時代を覚えておられ、その意味が分かってもらえると思います。

「誰に相談すればいいのか
わからない」をなくす

【2.相談機能】

 多くの企業でダイバーシティが進み、同じ職場に正社員だけでなく多様な働き方、多様な雇用形態が混在しています。そのような環境下では、誰に相談すればいいのかわからない、と感じる社員が出てきます。低成長期以降のスリム化や、情報環境の変化によって「個業化」が進んでいることも、それに拍車をかけています。

 そうした環境だからこそ、ヤフーの1on1ミーティングに代表される「部下を成長させるコミュニケーション技法」が注目されるのでしょう。

 そのような新たな取り組みも、経営層や人事部門の理解が進まず、現場と遊離した状態で導入されれば、多忙な上司自身がパンク状態になるおそれがあります。

 だからこそ、専門性を持ったキャリアコンサルタントが相談に応じる必要が生まれるのです。

 職場で悩む上司も部下も、心から信頼して話せる場所が企業内にあると考えるだけで、安心して仕事に集中できます。あえて言えば、「ライフキャリアデザイン」という人生全体の相談をすることで、一層仕事に集中できるというメリットが見えてきます。