中国にあるルイ・ヴィトンの店舗Photo:iStock/gettyimages

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 高級ハンドバッグはiPhone(アイフォーン)や自動車とは事情が違うらしい。フランスの高級ブランドグループ、 LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの最新の決算報告は、中国の個人消費動向に関する通説に逆行するものだった。

 「クリスチャン・ディオール」や「ジバンシー」など世界に名だたる高級ブランドを持つ同社は29日、中国の消費者からの需要が2018年10-12月期(第4四半期)に堅調だったことを明らかにした。最も楽観的なアナリストや投資家でさえ減速を予想していた。この結果は高級ブランド株の低迷に再考を促すことになる。

 LVMHの業績は依然として好調だ。2017年の売上高426億ユーロ(約5.3兆円)に対し、2018年は42億ユーロの増収となった。旗艦ブランド「ルイ・ヴィトン」が急成長する一方で、コニャックや特定の時計ブランドに対する需要が強まり、生産が追いつかないほどだった。

 最も驚かされるのは、同社の経営陣がアナリストとの電話会議で、中国人顧客による購入額が伸びたと言及したことだ。LVMHは中国本土市場の数字を明かしていないものの、10-12月期のアジア全体の売上高は15%増となり、前四半期の11%増より加速した。

 この事実は、投資家が同セクターについて自らに言い聞かせてきたストーリーとは相いれない。株式市場ではここ数カ月、高級品銘柄の売りが膨らんでいた。株安と貿易摩擦の影響で中国の消費者が買い控えするとの懸念が高まっていたのだ。LVMHの創業者、ベルナール・アルノー氏による世界の経済状況に対する強気発言は、これに逆らっているように聞こえた。

 中国での自動車販売が驚くべきペースで落ち込む一方、アップルは最近、中国市場のiPhone販売低迷を受けて何年かぶりに業績見通しを下方修正していた。そこで疑問なのは、高級品はなぜ異なる状況になり得るのかだ。その答えは明白ではない。ただ、米中貿易協議が再開される今、投資家はより微妙な違いを見分ける必要があることは確かだ。

 高級品銘柄は魅力的な水準にまで評価が下がっている。LVMHの最近の予想PER(株価収益率)は19倍前後で推移し、2年ぶりの割安水準にある。「グッチ」を擁するケリングは16倍を若干上回る程度だ。爆買いの好機かもしれない。

(The Wall Street Journal/Carol Ryan)