タイとベトナムが躍進
アジアの「序列」は崩れつつある

 今回のアジアカップではこの他にも大きな変化が見られた。カタール同様、格下と思われていた国が強化され、侮れない存在になってきたのだ。

 これまでアジアの強豪国は一部に限られていた。中東のイラン、サウジアラビア、イラク、UAE、極東の韓国、日本、そして2006年からアジアに加わったオーストラリア。W杯出場もアジアカップの成績も、これらの国が争ってきたわけだ。が、その序列が崩れつつある。

 グループリーグでは世界41位のオーストラリアが109位のヨルダンに、79位のUAEは113位のバーレーンに敗れ、118位のタイと引き分けた。53位の韓国も91位のキルギスに勝ったものの1-0の接戦だったし、決勝トーナメント1回戦ではバーレーンに延長でやっと勝った。

 準優勝した日本も格下と思っていた相手に苦労した。グループリーグの初戦では127位のトルクメニスタンに3-2、82位のオマーンに1-0、95位のウズベキスタンに2-1、準々決勝では100位のベトナムに1-0といずれも接戦だった。ランク上位の国が順当に勝つとは限らない状態が続いた。各国の実力が接近しているのだ。

 なかでも印象に残ったのが東南アジア勢、タイとベトナムの躍進だ。タイはグループAをUAEに次いで2位で突破。決勝トーナメント1回戦では中国と1-2の接戦を見せた。ベトナムはイランとイラクがいる厳しいグループDに入ったが、両国と好試合を見せ3位で突破し、準々決勝で日本とほぼ対等の試合をした。強化が進んでいる証しだ。

 これまでサッカー後進国と見られていたアジア各国が強化に努め、レベルアップしているのは2026年W杯から出場国が32から48に拡大されることがあるだろう。これに従い、アジア地区の出場枠が4.5から8.5に増えた。8.5枠ならレベルアップすることで予選突破の可能性が出てくる。夢だったW杯出場が現実になりそうだということで各国が本気で強化に乗り出すようになったのだ。

 今回のアジアカップはこの流れが形になって表れた大会といえる。これは日本代表にとっても望むことだろう。グループリーグから苦しい戦いが続いたことでも分かるように、勝利を計算できる相手が少なくなるわけで、大変ではある。だが、その厳しい戦いを勝ち抜くことで、さらなるレベルアップが図れる。それがW杯出場を果たした時、これまで立ちはだかってきたベスト16の壁を突破する糧になるはずだ。

(スポーツライター 相沢光一)