米国がイラン制裁違反を理由に
ファーウェイと同社CFOを起訴
1月28日、米国の司法省はイラン制裁違反を理由に、通信機器の世界大手である中国の華為技術(ファーウェイ)と同社の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)を起訴した。
中国がIT先端分野での競争力を高めるためには、ファーウェイの存在は欠かせない。一方、米国はそのファーウェイをたたき、中国の覇権強化を食い止めたい。トランプ大統領とすれば目先の支持獲得のために、ファーウェイに圧力をかけることで「IT先端分野での中国の台頭を抑えた」、「中国から譲歩を引き出した」という成果を世論にアピールしたい。
これまでトランプ政権には、長期の視点に基づいて政策を運営する発想が見当たらない。中長期的に見ると、トランプ政策は米国と主要国間の摩擦を高めるなど、国際社会に禍根を残す恐れがある。IT先端分野における米中の覇権争いも激化する恐れがある。
一方、日本は、安全保障面で米国との関係を維持・強化しつつも、自力で国力を引き上げなければならない局面を迎えた。足元、中国はわが国との関係を強化しようとしている。米国の孤立化の懸念が高まる中、日本は自由貿易促進の旗振り役となり、アジア新興国などとの関係を強化して経済の実力強化を目指すべきだ。
米中貿易戦争には
2つの側面
米国の立場から貿易戦争を考察する。米国は、2つの側面から中国に貿易戦争を仕掛けている。まず、米国は中国の農産品や日用品などに関税をかけ、対中貿易赤字を削減したい。
もう1つの側面が、IT先端分野での覇権国争いである。民主・共和両党からは、中国に対して制裁を発動しIT先端分野での台頭を抑える必要があるという強硬な意見が増えている。