地方から東京に出て来ているその彼は、「親ですね」と言うのです。そこで私はこう提案しました。

「それなら親に送ればいいじゃない」
「えっ?それはおかしいでしょう?」
「全然おかしくない。繰り返すけど、儀礼ではなく心の交換だととらえてごらん」
「心の交換ですか。なるほど、目から鱗が落ちました」と感激してくれたのです。

 そういい切れるのも、ある意味では年配者だからだといえないでしょうか。先人の知恵といってもいいかもしれません。

流行り廃りの話題は
避けたほうがいい

 最後に、経験上、どうもスルーされる傾向が強い話題についても書いておきましょう。その一番手が、これは技術オタクの私にとっては誠に残念なことですが、昔の技術や機械についての話題です。

 例えば「昔のコンピュータ」とか「肩からかける箱だった頃の携帯電話」です。冗談で言ったとしてもあまり響きません。

 その変遷を目の当たりにしてきた私たちには非常に興味深いことであっても、それを見ていない人たちにとっては、まさに馬耳東風なのです。せいぜい「あっ、そうなんですね」と軽くいなされて終わりです。

 専門外であれば、技術者の反応も同じです。プロジェクトXも、もう昔話です。

 当然、バブル時代に「しもしも」と言っていたなど、親父ギャグにしかすぎません。

 ファッションの変遷も同じです。昔のネクタイの幅など、どうでもいいわけです。昔の歌もそうですね。その歌が好きだった世代にしか受けません。

 流行というのは、その時代背景や自分のその時の想いも含めた感動なので、その世代にとってはとても大切な想い出であっても、他の世代の人にとっては無意味なものなのです。世代、世代でそういうものがあるわけです。そこは語っても意味がありませんし、「好きになれ」と言っても詮ないことです。

(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)