バカにできない
「小1プロブレム」

「勉強ができる子」になるたった1つの方法とは? 植木理恵(うえき・りえ)
1975年生まれ。心理学者、臨床心理士。お茶の水女子大学生活科学部卒業。東京大学大学院教育心理学コース修了後、文部科学省特別研究員として心理学の実証的研究を行う。日本教育心理学会から城戸奨励賞、優秀論文賞を史上最年少で受賞。現在、都内総合病院でカウンセリングを行い、慶應義塾大学では講師を務める。また、気鋭の心理学者としてフジテレビ系「ホンマでっか!?TV」でレギュラーを務め、幅広い層から支持を集めている。

「小1プロブレム」という言葉をご存じでしょうか。1990年代ごろから、教育現場では社会問題として取り上げられていることなのですが、小学校に入学したばかりの1年生が、学校というものにまったく適応できないために起こす行動のことです。

たとえば、「ハイ並んで」「みんな前を向いて」といった先生のかけ声に反応できない、順番を待ったり給食をそろって食べたりといった集団行動がとれない、あげくには、授業の間でも教室をウロウロしてしまう……。

これらは、子どもに基本的な生活習慣やストレス耐性がまだ身に付いていないまま、小1になってしまうことが原因とされています。そして、こうした落ち着きのない行動を起こす子どもは、その後、高学年になっても、中学生になっても問題傾向を持ち続けることが少なくないことが指摘されています。

つまり、学校生活に適応できる程度の基本的な生活習慣を幼いころに家でちゃんと身に付けていないと、その習慣はその後もずっと続く可能性が高いということです。習慣の力はそれだけ根深くて強固なのですね。