スモールステップで
順番に習慣をつける

勉強も同じで、小さなころからいかに習慣をつけさせるかがとても重要になります。一般的なテストや受験成績などに関しては、子どものIQとか、もともとの頭のよしあしが大きく関係するものではないのです。教育心理学では、いかに勉強の習慣化がされているかということが、もっとも強く成績につながることが示されてきています。

ですから、たとえば子どもさんが漫画や本を床に寝転がって読んでいたら、「椅子に座って読んでごらんよ。そのほうがもっと面白く感じるんだよ」とか、「ご本を机に置いて読んでごらん。読みやすくなるし、そのほうがカッコいいよ」といった言葉がけをしてみましょう。そしてそれができていたら、何度でも褒めてあげてください。

本を読む、ものを描く・書くという行為と、それを「机の上で」「自分の部屋で」行うということが子どものなかで「当たり前のこと」になるのが大切なのです。この習慣が身に付いた子どもは、小学校に入っても、毎日机に向かって宿題や読書をするということが、大きな苦痛ではなくなります。

もし、自分の部屋で本を読むなど、一人で何かをする習慣がついていない子どもさんであれば、最初はいきなり「勉強部屋で」という条件をつけるのではなく、まずはリビングでも食卓でも、親が何か他のことをしている傍らで勉強をさせることから始めるとよいとおもいます。親とおしゃべりをしながらでも、とにかく座って勉強させる時間を、たとえば小1の子であれば30分以上は作るようにしてください。「机について勉強する」「自分の部屋で宿題をする」といった2つのことが習慣化していない子どもに、同時に両方をさせるのは無理があります。

もし、そういうことでさえ難しいお子さんであれば、まずは、寝転がった姿勢であっても学校の宿題をちゃんとする習慣をつける。それができるようになってから座ってやらせる。そして今度は机に向かわせることを促す。最終的には部屋で一人で勉強するようにと導く……このようにスモールステップを順番に一つずつ経て身に付けさせなければなりません。

こういう習慣化を子ども時代に身に付けていないのに、高校生になったときにいきなり大学受験の勉強に集中するのは無理な話なのです。勉強を歯磨きやトイレのような、生活のなかの一部に導いてあげることが、幼いお子さんを持っている親御さんの使命だと思います。