保育園は、認可・認証を受けていない園以外、国の補助金や助成金などによって経営が成り立っている。給付金の金額は公定価格で決まっており、基本額は保育する園児の数と年齢で決まる。単価は0歳児が最も高いが、保育士も0歳児3人に1人を配置する必要がある(認可保育所の場合)。保育園が受け取る補助金には給食費や地代なども含まれるが、人件費が8割前後を占めるといわれており、保育者(保育に従事する職員)の頭数に経営が大きく左右される。

 つまり、園児が定員まで埋まり、配置基準を満たすだけの保育士を確保すれば、赤字にならない仕組みになっている。

 ところが、大都市、特に都内では空前の保育士不足が起きている。待機児童対策で急激に保育施設を増やしたものの、国家資格である保育士の養成機関は限られているからだ。配置基準を満たすために保育士の獲得競争が起き、有効求人倍率は2017年には都内で平均5.18倍、ピーク時は約7倍にまで跳ね上がっている(下図参照)。