社会福祉法人の中にも、そうした道を模索するところも一部出始めている。逆に言うと、そうした道を探らないと、保育園の運営はますます厳しくなる一方なのだ。今年10月から始まる幼児教育無償化の影響で、都市部ではさらに待機児童が増え、保育士不足に拍車が掛かるとみられる。
しかし、いずれは少子化の影響から保育園が余る事態が予想される。18年4月時点で、7割以上の自治体が待機児童ゼロとなっており、すでに待機児童問題は都市部だけの局地的な問題にすぎない。むしろ地方では子どもの減少で公立園の運営が厳しくなっており、民営化や閉園が続いている。
船井総合研究所の大嶽広展・保育・教育支援部部長は、「全国で保育ニーズの需給の転換点が来るのは25年ごろと考えている。だが、すでに出生率の下がった地域の園は、園児を求めて外に出ていく事例がある」と話す。
福祉の側面が強い社会福祉法人が保育園の多くを運営していることもあり、特に認可保育所は危機感が薄い。「今の認可保育所のサービスに不満を持つ親はたくさんいる。一方、認可外保育園でも世界基準の教育を施す園もある。そうした施設には認可からも移っていくだろう。これからは質の競争になる」と日本総合研究所の池本美香主任研究員は言う。
国は16年までの10年間で保育支出を約1兆円増やしてきた(下図参照)。