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どっちのペイにする? 筆者撮影

 PayPayが「100億円キャンペーン」第2弾を始めたのと同じ日に、LINE Payがファミリーマートで20%還元を開始するなど、モバイル決済の競争が激化しています。それに加えて、新しい「○○Pay」も続々と増える中で、アプリを活用したマーケティングがふたたび注目を浴びています。

■「○○Pay」実はあまり使われていない説

 最近のモバイル決済の動きとして、KDDIは「au PAY」を含むスマートマネー構想を発表し、メルカリはアプリに「メルペイ」を追加。みずほフィナンシャルグループが地銀50行と組んだ「Jコインペイ」、ヨドバシカメラによる「ヨドペイ」の存在も報じられました。

 一方、MMD研究所が2019年1月に実施した調査では「楽天Pay」「PayPay」「LINE Pay」がトップ3を占め、「d払い」も追い上げていることから、そろそろ新規参入には遅すぎるのではないか、との見方もあるでしょう。

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楽天Pay、PayPay、LINE Pay、d払いが国内勢の4強になりつつある

 これに対して、4月にau PAYで参入するKDDIは「まだ遅れを取っていない」と見ています。バーコード決済を使える店自体は増えていますが、実際の決済件数はあまり増えていないというのです。

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4月開始の「au PAY」

 たしかにファミリーマートのレジを見ていると、スマホを取り出す人は少数派です。半分以上の人は現金で払っており、プラスチックカードの電子マネーを使う人がそれに続く印象でした。おサイフケータイの登場から15年が過ぎようとしているのに、スマホ決済はまだまだ広まっていないようです。

■「アプリを見てくれる」ことに莫大なチャンス

 おサイフケータイとの違いとして、QRコード決済では使うたびにスマホのロックを解除し、アプリを開く必要があります。これはたしかに手間ですが、ユーザーが「毎回アプリを見てくれる」ことには重要な意味があります。

 スマホの普及に伴いアプリマーケティングが盛り上がった時期もありましたが、やがてアプリは使われなくなって、無数のアイコンの中に埋もれてしまいます。最近では、ユーザーが毎日使うSNSやニュースのアプリに広告やクーポンを表示するほうが確実とも考えられてきました。

 しかし○○Payは、こうしたアプリマーケティングの常識をくつがえす可能性があります。多くの人が何らかの買い物をしながら生活しており、支払いのたびにアプリを見てくれるとなれば、そこに莫大なチャンスが生まれるからです。

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ユーザーは支払いのたびに「○○Pay」アプリを開いてくれる

 ユーザーに関係のない広告を出しても見られませんが、○○Payは利用履歴から年齢や性別、生活水準や行動範囲を推測できます。ユーザー目線でも自分に「刺さる」広告やクーポンが表示されればアプリを開く手間も惜しくないはずです。

 このトレンドに乗ってきたのがKDDIです。

■手札をそろえたKDDI

 KDDIはau PAYを単独のアプリではなく「au WALLET」アプリに搭載し、ポイントや決済から金融サービスにつなげていくというビジョンを打ち出しました。

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au WALLETアプリに決済や金融サービスを集約

 極端に言えば、コンシューマー向けの事業を営む企業ならほぼすべて、○○Payに参入する価値があるのではないでしょうか。ただし、PayPayのようにゼロから始めるには、100億円キャンペーンのように大きな投資が必要です。

 これに対してau PAYは、2000万人のau WALLET会員と1000億超のポイント残高があり、対応店舗は楽天ペイと提携するなど、最初から強い手札を揃えています。これから新規参入する○○Payも、いかに既存の資産を活用できるかという点が見どころになりそうです。