児童相談所にも問題がある。

 児童相談所は、児童福祉法第12条に基づき、各都道府県に設けられた児童福祉の専門機関だ。すべての都道府県および政令指定都市に児童相談所が設置されている(2006年4月から中核市にも設置が可能に)。

 だが都市部などでは、数が足りないうえ、職員も不十分だ。

 児童虐待相談は、児童福祉司などの専門職を任用すべきなのだが、実際には一般行政職が担当している場合も少なくない。

 しかも一般的な自治体の公務員は、3~5年で人事異動がある。このため、10年以上の経験がある児童福祉司は全体の16%しかいない。

 判断が難しい虐待の現場では、なにより経験が必要である。今回の事件でも、経験があれば女児を救えた場面もあると聞いた。

 筆者も公務員だったが、外国の公務員と比較すると、日本では人事異動のローテーションが短いと感じたことが多い。

 役人時代に同じポストを4年やったことがあるのだが、海外出張に行くと、向こうの役人から、日本にしては同じポストに長くいると言われたりした。

 海外では役人は、10年以上同じポストにいるのは珍しくないし、むしろそれが通常である。

 人事異動のローテーションを短くするのは、癒着や不正防止が理由と言われるが、それは、本来、罰則強化で対応すべき問題だ。 経験が少ないというのは、大きなロスである。

都市部や政令市で
児童相談所が少な過ぎる

 経験豊かな人材を抱えるためには、組織もある程度の規模でないとなかなか難しい。

 このこと考えると、今の児童相談所はそれほど大きな組織ではない。

 今回の事件を受けて、政府も動きだしている。安倍首相は9日、自民党本部の会合で、児童相談所の専門職員について、「来年度は今の3200人から一気に1000人増やすし、その後、5000人体制にする」と話した。

 筆者は最近、ツイッターで、「児童相談所。痛ましい事件があるけど、都市部、政令市は数が足りない。数の足りないのは質ではカバーできないのがしばしば。痛ましい事件も数の問題かも」とつぶやいた(http://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1097029343904186368)。