ここで言う「絶望名言」とは、「絶望した時の気持ちをぴたりと言い表した言葉」という意味である。病気、事故、災害、死別、失業、失恋など、受け入れ難い現実に直面して絶望した時に、「生きていこう」と思うのはとても難しい。

「明けない夜はない」という言葉に
ずっと違和感

 死が救いに思われるほどの絶望を言葉にしたところで、目の前の現実が変わる訳でもなく、解決策が見つかる訳でもないが、それでも、言葉にすることで絶望と少し距離ができ、少しだけ和らぐ、そういうことである。

 例えば、失恋した時には、失恋ソングを聴きたくなる。それと同じで、絶望した時には、絶望の言葉の方が、心に一層沁み入ることがあると言う。

 そうした意味で、著者は、シェークスピアの『マクベス』に出てくる、「明けない夜はない」という言葉にずっと違和感を覚えていたそうだ。

 原文は、”The night is long that never finds the day.”で、直訳すると、「夜明けが来ない夜は長い」となるが、著者が思うには、絶望している人をなぐさめるために、いきなり励ますというのは早急過ぎるのだそうだ。