スペイン人リージョ監督の招へいで、
ヴィッセルは「バルセロナ化」へ

 スペインの名門、FCバルセロナひと筋でプレーしてきたイニエスタを、32億円を超える年俸とともに迎え入れたのが昨夏。世界中の注目を集めた補強をターニングポイントとして、ヴィッセルが目指すスタイルは「バルセロナ化」へと大きく舵が切られた。

 改革が加速されたのは昨年9月。スペイン人のフアン・マヌエル・リージョ新監督を電撃的に招へいしたヴィッセルの三木谷浩史オーナー(楽天株式会社代表取締役会長及び社長)は、相思相愛の恋人と出会ったと言わんばかりに、興奮気味に言葉を弾ませている。

「ポゼッションサッカーの開拓者であり、世界のサッカー界では誰もが知っているイノベーター。我々が目指しているポゼッションサッカーに合う、経験値が高くて、インテリジェンスのある監督を探していた中で、まさかオファーを引き受けてもらえるとは思わなかった」

 53歳のリージョ監督には、バルセロナを含めたビッグクラブを指揮した経験はない。それでも常に一目置かれる存在であり続けた理由は、バルセロナに黄金時代をもたらし、現時点で世界最高の指揮官の評価を得ているジョゼップ・グアルディオラ監督が“師”と仰いでいるからだ。

 就労環境が整ったリージョ監督が指導を開始したヴィッセルは、それまで5連敗を喫する泥沼状態から上向きに転じてJ1残留を果たした。同時進行で新シーズンの新戦力として、アメリカでプレーしていたビジャに白羽の矢を立てた。

 ベガルタ仙台をホームのノエビアスタジアム神戸に迎えた昨年12月1日のJ1最終節。バルセロナでプレーした経験を持つビジャを招き、ハーフタイムにはファンやサポーターへお披露目させた三木谷オーナーは、37歳になるベテランを獲得した理由をこう説明している。

「リージョ監督ともよく相談をさせていただき、我々が追求している新しいスタイルに最も合うストライカーとして、ビジャ選手の名前が挙がりました」

 昨シーズンのヴィッセルはポドルスキ、ブラジル人のFWウェリントン、夏場にJ2のFC岐阜から加入したFW古橋亨梧の5ゴールが最高だった。どんなにパスをつなぎ、試合を支配してもゴールネットを揺らさなければ、必然的に試合に勝つ確率は低くなっていく。

 ポゼッションスタイルを、勝利へと昇華させる役割を託されたのがビジャだった。さらには来日直前で名門ユベントス入りが決まって破談になったものの、同じくバルセロナでプレーした経験をもつウルグアイ代表のDFマルティン・カセレスの獲得にも動いていた。