アプリ開発のコストを低減し
クラウド収益を狙う

 今回のホロレンズ2の発表で見逃せないのが、マイクロソフトのクラウドサービスとの連携を強化したことだ。ホロレンズのMRのデータをクラウドと連携させることで、例えばパソコンやタブレットでもホロレンズ上の仮想空間を確認できるようになる。

 また、クラウド上で動作する、従業員の作業支援アプリなどのひな型を用意。従来は顧客ごとに専用アプリを開発していたため、導入までに数百万ドルの費用と数ヵ月の期間がかかっていたが、「われわれが用意したアプリを使うことで導入コストが格段に下がり、期間も月単位から分単位へと短縮できる」(グレッグ・サリバン・ディレクター)。

 実際、年内に法人向けに発売予定の端末価格は3500ドルだが、クラウドサービスとのセットで月125ドルのプランも用意。「収益は端末販売とクラウドの2本柱になる」とサリバン氏は説明する。

 クラウドサービスで先行する米アマゾンを追撃するため、将来データ量が伸びると目される、MRのクラウド市場をいち早く押さえることを狙っているのだ。

 マイクロソフトは基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を武器にパソコンの普及期に爆発的に成長し、いわば「マウスとキーボード」操作の時代の覇者だった。

 だが、米アップルの「iPhone」を筆頭とする、指先によるタッチ操作を軸とするスマートフォンの潮流に乗り遅れて失速。そして今、アマゾンと米グーグルが、AIスピーカー市場を舞台に音声操作の覇権争いを繰り広げている。

 ジェスチャーと視線による操作の世界で、王座に返り咲く。未来のデジタル空間の覇権は渡さない。ポストスマホ時代を見据えたマイクロソフトの大胆な一手は、新たな市場を切り開けるか。