これは米保険会社アフラックの創業者であるジョン・エイモス氏が1972年、米国上院議会の不正・独占に関する委員会で発言した内容の一部を取り上げたものだ。検討した結果、解約した方がいいと分かっていても、解約した途端に保険金の対象となるような事態に陥ってしまうのではないかと考えることで、現状を変えること(解約すること)をちゅうちょするという、これもまさに現状維持バイアスの1つといっていいだろう。

無用なバイアスをなくすには
ルールを決めておくこと

 このように、世の中には「変えた方がいい」と頭では分かっていても、現状維持バイアスによってそれを実行することが難しいことはたくさんある。それを回避するための方法の1つは、「ルール化する」ことだ。とにかく一定の条件で状況が変わったときには個人の感情や判断を交えず、機械的に実行するようにすればいい。

 もちろん、それが必ずしもいい結果をもたらすかどうかは分からない。だが、根拠のない不安感にとらわれて行動しなかった結果として起きる不利益だってあるはずだ。誰も先のことは完全には分からないのだから、少なくとも判断する時点で余計なバイアスがかかることはできれば避けたい。

 ルールを決めておくというのは、そんな無用なバイアスをなくすための手段の1つだろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)