有罪でも無罪でも
ゴーン氏は日産に戻れない

 検察側が描く「ストーリー」が、「関係者によると」いう枕詞でマスコミが触れ回るというのは、もはや周知の事実だが、今回の「民衆法廷」では「日産関係者」という証人が極めて大きな役割を果たした。

「ゴーン氏の姉に業務実態のない金が年10万ドルも払われていた」
「ゴーン氏には豪邸や高級シャンデリアやGT—Rが無償提供されていた」
「ゴーン氏の指示で、中東の販売代理店に億単位の報奨金が送られていた」

 なんて感じでマスコミが、ゴーン氏の悪行三昧をぶちまけ続けたことで、日本の世論的にはゴーン氏はすっかり「クロ」というイメージが定着してしまっているのだ。

 もし虚偽記載や特別背任で「無罪」という判決が出たとしても、「裁判ではうまいこと逃げたけど、悪事を働いたことは変わらない」などの批判が持ち上がる。やれグレーだ、経営者失格だと言うそしりを受けて結局、日本企業の富を食い潰した「強欲外国人」という評価は何も変わらない。

 つまり、これから始まる司法裁判の結果を待つまでもなく、日本人による「ゴーン裁判」は事実上、結審を迎えてしまっているのだ。

 そのあたりは、この100日、雨の日も風の日もゴーン氏の悪口をリークし続けてきた「日産関係者」が、ゴーン氏の保釈を受けて日本テレビに流したコメントにすべて集約されている。

「有罪でも無罪でももう日産に戻ってくることはないので、淡々とやります」(日テレNEWS 24 3日6日)

 もし無罪になろうとも、世間の皆様が決してゴーン氏の「復職」を認めるわけがないというのである。

 本来、取締役会にかけるような問題を捜査機関に売り飛ばしてまで、「ゴーン追放」を成し遂げたかった「日産関係者」なる人たちからすれば、これは事実上の「勝利宣言」といえよう。