横浜ゴム直需技術部内の直需技術1グループ樋口禎課長横浜ゴム直需技術部内の直需技術1グループ樋口禎課長

 数年前のある日、とある新車用タイヤの開発が最終段階を迎え、誰もがピリピリとしていたときに“問題”は起きた。樋口は言う。

「タイヤの開発は、顧客の要求・要望をもとに設計し、サンプルを作り、顧客に提示するという作業を何度も繰り返します。そうやっていくうちに徐々に設計空間が狭まっていき、最終的な仕様が決まり、量産となるのですが、あのときは仕様が決まる直前という段階で、うちの設計担当がめちゃくちゃいい加減な態度で仕事に臨んでいたんです」

「顧客のテストコースに出向いての最終テスト。これでダメ出しされたら受注も信用も失いかねない。そんな大事な日の前日のことでした。そいつ、のほほんとした顔で現場に手ぶらでやって来たんですよ(笑)」

 彼(A君)は現在、樋口の直属の部下で、当時は開発グループの設計担当者だった。

準備不足に
課長の怒りが爆発

「最終テストの前日、現地でミーティングをしたのですが、そこで分かったんです。『これが最終サンプルです』と顧客にしっかりと説明できるだけの材料を、全然用意してないなということが」

 前回までの商品とはここが違う。その具体的なデータ、根拠をA君はほとんど用意していなかった。なぜか。

「単純にA君の怠慢、準備不足ですよ。どうせ合格だろうと、安易に考えていたんです。幸い商品自体はよかったので最終テストはクリアし、先方の要望に応えることができましたけど、もし先方から何か突っ込まれていたら、まともに答えることもできなかったはずです」

 そのとき、樋口の怒りが爆発した。