コア・バリューに沿った面接は難しかった

奇跡の会社の採用で面接官が自ら問いかける質問 クリステン・ハディード
スチューデント・メイド創業者兼CEO
2008年フロリダ大学在学中に、学生のみを雇用する清掃サービス会社「スチューデント・メイド」を起業。彼女が大学生として始めたビジネスである同社は、数百人の人材を雇用するまでに成長しており、業界をリードする離職率の低さ、信頼性、責任感、エンパワーメントの文化が全米で知られる。スチューデント・メイドで仕事をした学生の多くは、自分のビジネスを起業し、世界中の企業で非常に重要なポジションに就職している。スチューデント・メイドは主要メディアで次々と紹介され、著者には同社の成功から学びたいと講演依頼が全米の組織から殺到。現在は、スチューデント・メイドの経営のかたわら、人々に永続的かつ意味のあるインパクトを与える支援をする目的で多くの講演や研修などを行う。
Photo by Pete Longworth

 コア・バリューが決まると、採用面接ではグーグルで拾った質問ではなく、応募者が私たちの企業文化にフィットするかどうかを見極めるために考え抜いた質問をするようになった ― 。と言いたいところだが、実際はそうもいかなかった。

 コア・バリューに基づいた採用プロセスを構築することは、事実上、不可能だった。コア・バリューを採用の「最低条件」にすることには、エリンもアビーも私も異論はなかった。掃除機の達人でも、10項目を体現していると思えなければ採用しない。この点はわかりやすかった。

 さらに、エリンとアビーが私と同じように採用の決断を下せると私が確信できるまでは、彼女たちの面接を私がフォローすることにした。これも異論はなかった。
 ただし、応募者の道徳心や創造性、火の輪くぐりも厭わない心構えを確認するような質問を考えることは、簡単にはいかなかった。

 私たちはあらゆる方法を試みた。高価そうに見えるアクセサリーをオフィスの床にわざと落とし、応募者が私たちに返すかどうか、誠実さを試したこともある。鉛筆を1本渡して、2分以内にできるだけ多く使い方を考える、という質問は創造性のテストだ。

 単刀直入に、「あなたは礼を重んじますか?」「柔軟性がありますか?」と質問したこともある(驚いたことに、誰もが口をそろえて「もちろんです」と答えた)。「チームワークをどのように定義しますか」など、自由に答える質問もあった。本物の焚き火の上にぶらさげたフラフープをくぐらせること以外は、あらゆるアプローチを試した。