王者・川崎フロンターレのホームに乗り込み、スコアレスドローで勝ち点1を獲得した2月23日の開幕戦。利き足の左足から放たれた、強烈な直接フリーキックが右ポストを叩いた前半41分の決定機が注目を集めたが、本当の意味での久保の変化は直前のプレーに集約されていた。

 日本代表でプレーした経験もあるDF車屋紳太郎と激しいボディコンタクトを展開しながら、昨シーズンまでなら転倒していた場面で踏ん張る。最後は強引かつ巧みに体を入れてボールを奪い、素早く反転してドリブルを仕掛け、チャンスを作り出したプレーを久保はこんな言葉で振り返っている。

「何て言うんですかね……他の選手たちもああやって体を張って守っていますし、変な目で自分を見ることなく、普通にボールを取った、というくらいに思っていただければ幸いです」

 特別なことではなく、チームの一員として当然のことをしただけという意識が、ちょっぴり困惑した表情を生み出していた。成長という名の旅の手土産を存分に発揮し、精かんな顔つきとともに大人への階段を駆け上がっている久保を見ながら、父親のような思いを大金社長は抱いている。

「階段を駆け上がり過ぎちゃって、どこかに行っちゃうのかなという、親心にも似た気持ちもあらんでもないな、と。活躍すればするほど注目されるし、世界から見られる、となった時に、子どもが留学する時に親が抱く寂しさみたいなものあるかな、というのがありますね」

「すぐヨーロッパから声がかかるレベルに」
久保の成長に長谷川監督も期待

 図らずも指揮官も、久保が成長した先に待つ未来に対して言及している。2017年6月にFCフローニンゲン(オランダ)へ移籍し、今では森保ジャパンの主軸を担っているガンバ監督時代の教え子、20歳のMF堂安律と比較しながら、長谷川監督はこんな言葉を紡いでいる。

「堂安がヨーロッパへ行く前のレベルくらいまで来ているな、と。これからJリーグで順調に経験を積んで、5月のFIFA・U-20ワールドカップでさらに刺激を受ければ、すぐにヨーロッパから声がかかるレベルに来ているんじゃないかと思っています」