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守りと攻めの「両利きの経営」が、
日本企業の未来を拓く

内山悟志[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]
【第90回】 2019年3月15日
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今こそ求められる「両利きの経営」

 あらゆる業界で破壊的イノベーションが起こり得る現在において、企業がこれまで成功してきた既存事業を維持しつつ、新たな分野を開拓するためには、「両利きの経営」を身につけることが重要である。

 これは、2019年2月に邦訳が出版された「両利きの経営」(チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン、東洋経済新報社)で述べられている考えである。同書では、成熟事業の成功要因は「深化」、すなわち漸進型の改善、顧客への細心の注意、厳密な実行だが、新興事業の成功要因は「探索」、すなわちスピード、柔軟性、失敗への耐性であり、その両方ができる組織能力を「両利きの経営」と呼んでいる。そして、「深化」と「探索」の両方を組織的に調整することができることが、イノベーションのジレンマを克服する際の真の鍵だと述べている。

 「深化」とは、これまで成功してきた事業をより良くするために、効率性、コントロール、確実性、バラツキの縮小に力点を置き、絶え間ない改善が組織の調整能力となるものである。これに対して「探索」とは、自発性、実験、スピードに力点を置き、新しい事業コンセプトの発案、市場セグメントと顧客の特定、検証しながら継続的に調整することで新規分野を開拓してくことであり、実験と機敏さを重視する文化を醸成することを意味する。

 この2つの概念は、デジタルイノベーションを推進する際の力点の置き方を方向づけるにあたっても重要な観点となる。

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内山悟志[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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