次に、新築の価格表を集める。一般的な価格算出方法とこの価格表を比較すると、色々なクセがわかる。「この眺望を稀少価値として推している」「この前の建物が近いがゆえに安くしている」「最上階が高過ぎないか」など、価格設定した人の考えが丸見えになる。全住戸の相対的な価格設定なので、必ずクセが相対的に現れるのだ。そのクセが個別事情で納得が行くだけの理由として認められればいいが、そうでないならばそれは割高・割安ということになる。

「北側の7階」はなぜ割安なのか
新築で迷ったときに持つべき指針

住戸比較レポートの例:パークコート渋谷ザ タワー 拡大画像表示

 筆者は実際、自分が購入した物件でもこの手法を用いている。その際は、北側の7階を選んでいる。都心では北側が中古で値上がりしがちな点や、前の眺望が開けている点で、明らかに割安と判断できたからだ。次に選んだ別の物件でも、同じ手法を使った。その際は、残された中でも3LDKの稀少性と南向きの眺望の良さを考慮に入れて、最も割安と判断した。

 これ以外にも、単価が物件内で相対的に安過ぎる、南北価格差が激し過ぎる、階数による価格差が少な過ぎる、面積が50平方m以上あった方が売却しやすい、グロス価格で8000万円を超えたくないといった、住戸を多角的に見る実践的な視点が相対的な価格差に妥当性を与え、選ぶ際の判断力を高めてくれる。

 自分の物件購入時に使ってきたこの手法を一般化させるべく、筆者は価格表からレポートを作成するロジックを作成した。物件自体の価格が高いかどうかは別の指標があるので、ここでは全住戸の中で相対的にどの住戸が安いかを判定している。つまり、割安額を合計するとゼロになるようにしているのだ。

 こうしたリアルで真剣な住戸選びは、いたずらに価格を云々するものではないので、価格表を提供していただいたり、その物件への来場を確認できる人に限定して、「住まいサーフィン」会員に無料提供を始めている。

 作成してみると、1000万円程度の価格差が出ることは往々にしてあり、思っていた以上に新築価格設定にバラつきがあることがわかる。このバラつきがチャンスを生む。前記の物件の例では「2640万円割安」などという判定が出ており、これは明らかに安いと思われる。この手法はシンプルだが汎用性が高い。往々にして当たっているということだ。新築で迷ったときは、このレポートが助けになってくれるだろう。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)