「予算打ち切り」恐れる自治体
復興予算使えるのはあと2年

 「ずさん」な防潮堤計画になぜなったのか。

 県は2月、「担当者が入れ替わった時の引き継ぎミスだった」と釈明し、設計のやり直しを発表した。防潮堤の本体工事は遅れることになる。

 それでも、20年度末までには、なんとか工事を完了させなければならないという。県が工事を急ぐのには理由がある。

 東日本大震災の復興財源は、20年度までの約10年間で32兆円が特別会計として計上されている。

 被災自治体が負担する割合は事業によって異なるが、平均するとわずか0.07%(220億円)。ほとんどが国費で建設される。

 なかでも、土地のかさ上げや港や河川の再整備、防潮堤建設は「被災者の命を守る」基幹事業と位置づけられ、20年度までに完了すれば100%国費で賄われる。

 だが20年度を過ぎると、県などの地元負担は50%に一気に跳ね上がる。

設計ミスを見つけた浜辺を指す鈴木卓也さん設計ミスを見つけた浜辺を指す鈴木卓也さん。奥には重機が止まっているが、防潮堤建設は中断している=宮城県南三陸町の志津川港 Photo by N.O.

 政府は20年度末で廃止される復興庁に代わり、新たな後継組織を設置する方針だが、復興特会は繰り越しを除いて原則20年度で打ち切られる。

 財源の約3分の1は、所得税や法人税の「臨時増税」で賄われているから、だらだらといつまでも続けるわけにはいかないというわけだ。

 建設が計画されている防潮堤の総延長は、青森から千葉県まで460キロメートル、完成には1.4兆円かかる。現在、防潮堤を含めた海岸対策事業は、計画の半分しか終わっていない。

 国費で建設できるうちにと、被災自治体が建設を急ぐあまり、各地で住民とのあつれきが起きた。どの地区でも合意までに数年単位を要したが、予算の終わりは20年度と一律で決まっている。