小室 御社で育児中の社員が四苦八苦している生活に、まさに自分事として直面されたんですね。

残業削減で浮いた1億8600万円を社員へ還元、働き方改革の「本質」を知る企業とは

川端 自分がそういった経験を経てわかったことは、自社の職場にも育児や介護の問題を抱えている社員が、想像していた以上に多いということでした。介護を抱えた男性社員は、職場に事情を打ち明けることすら難しいことも多い。そうした事情によって職を離れることにならないよう、制度を整えたり、周囲の理解を得られるようなムードを作ったりする必要性を実感しましたね。

小室 ライフでの経験がワークにおける視点をガラっと変える効果を「ワーク・ライフ・シナジー」と呼んでいますが、川端社長ご自身が時間の制約を抱えたことで、経営者としての視野が大きく変わられたんですね。

「働き方改革の先進企業に入りたい」
給料が減っても入社を希望する人々

小室 採用面での変化についてはいかがでしょうか。

川端 顕著な変化を感じているのがキャリア採用です。たとえば、前職で非常に高い給与を受けており、当社の水準だと少し下がるにもかかわらず、入社を希望されているというお話を聞くと、最初はびっくりしました。

小室 何かウラあるのでは、と(笑)。

川端 「おそらくもっといい会社に行く予定があって、滑り止めとして弊社を受けているのかな」などと受け止めていました。でも、そういう方々から「御社が働き方改革に総意で取り組んでいることを知って……」「多少所得が下がったとしても、家族の時間を作りたいと考えました」といったお話を何度もお聞きしました。

小室 本当ですか。それは、仕事のやり甲斐を最も感じる瞬間ですね(笑)。そんな言葉を採用の現場で聞ける段階まで、来ていたのですね。すごく感動しています。 

 キャリア採用の方ほど「働き方」がどれほど大事かを知っていますよね。どんなに高報酬でも、家庭との両立ができない職場からは離職せざるを得ない。そうすれば結局、生涯賃金は少なくなります。それに、家族から応援されない働き方では、定年後に家族との冷え切った関係だけが残ってしまいます。

川端 まさにそうですね。