よい映画にはプレゼン
のヒントが詰まっている
いきなりですが、映画はお好きですか。私は「大好き!」です。俳優を志したのも、幼い頃からたくさんの映画を見て、演じることに憧れたのが一番の理由です。
さて、よい映画にはプレゼンのストーリーテリングについてのヒントがたくさんあります。テレビショッピングなどは、まさにそのヒントを上手く活用している代表例と言えるでしょう。
というわけで、今回は映画の技法を紹介しながら、業界の雄であるジャパネットたかた(以下ジャパネット)のテレビショッピングとどのような類似性があるかを4つのポイントで紐解いていきたいと思います。ここでは電子辞書の販売の回を取り上げます。
(1)「何の話か」というゴール設定を明確に
映画においては、冒頭でなるべく早く観客に「最後まで観る動機」を与えなければいけません。「何の話か」を明確にすること、そして「物語のゴール」を明確にすることです。
たとえば、『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』(2001年)は、指輪をめぐる冒険の物語です。3部作の1作目である本作の序盤で、悪の力で世界を支配してしまう指輪を、遠く離れた火山の火口に放り込んでこの世から葬り去る使命が提示されます。
『シン・ゴジラ』(2016年)では、冒頭で東京湾に謎の生命体が現れます。ほどなくそれがゴジラだと判明し、日本は未曾有の危機に直面します。ゴジラに対処する人々の戦いを描く話で、ゴジラの活動を停止することがゴールとなるわけです。
一方、ジャパネット。これは同社に限らずテレビショッピング共通のフォーマットですが、開口一番「今日は電子辞書のご紹介です」で始まります。移り気で忙しい視聴者は、何の話かわからない番組を悠長に見ている暇などありません。