地下アイドルたちの待遇は、決して恵まれたものではありません。レッスンは自主練、暴言を吐くファンにも対応を強いられる――現役地下アイドルや元地下アイドルの証言から垣間見えるのは、悲惨な現実だった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新潟を拠点に活動するNGT48のメンバーがファンから暴行を受けた事件は、世間に大きな衝撃を与えた。しかも運営側は被害者メンバーに謝罪をさせ、再発防止策に防犯ベルを支給するだけなど不誠実な対応もあって、さらなる批判を浴びることに。「国民的アイドル」の運営ですらこのありさまというなら、「地下アイドル」はより悲惨なのではないだろうか。元地下アイドルに実情を聞いた。(清談社 ますだポム子)

事務所のいい加減さに困惑…
元地下アイドルの告白

 そもそも、「地下アイドル」の定義とはなんなのか。

「明確な定義はなくて、正直曖昧だと思いますよ。あくまで私の持論ですが、名乗れば誰でもなれるのが『地下アイドル』。CDを出してそこそこ名が知られたら『半地下』、誰もが知っている存在になったら『アイドル』、と呼べると思ってます」

 そう話してくれたのは、とある芸能事務所の「地下アイドル」グループに在籍していたミサキさん(仮名・24歳)。昔から人前に立つことが好きだった彼女は、大学2年生の時、たまたま見つけた地下アイドルグループのオーディションに応募し、見事合格した。

「アイドルなんて若いうちしかできないと思ったから、ノリで受けたんです。絶対落ちると思ってたので、受かった時はビックリしました。歌もダンスも未経験だったけど、事務所から『無料でレッスンが受けられます』って言われて安心してたんですが…」

 しかし、実際にレッスンが始まってみると、あまりのいい加減さに衝撃を受けたという。

「ステージデビューするまで3ヵ月くらいのレッスン期間があったんですけど、ボーカルもダンスも、先生がついてくれたのは初めの数回だけ。あとは事務所の人にすら見てもらえず、ひたすら自主練習の繰り返しでした。でも素人の集まりなのですぐ限界が来てしまい、事務所の人に『先生をつけてください』とお願いしましたが、ろくに取り合ってもらえませんでしたね」