23日から「春のセンバツ」が始まる。先月25日に代表校が発表された際、中でも、21世紀枠で選ばれた熊本西の紹介に思わず膝を打った。
『「試合は勝負、練習は教育」の信念のもと、全員で練習に取り組み、全員でグラウンド整備に取り組む。部室管理班、ネット管理班、天気掌握班、野球普及・地域活性化班などユニークな班編成を組み、独自の視点で部活動の工夫に努めている』
そう書かれていた。特に、この中の「野球普及班」に目が留まった。さらに調べてみると、部員たちが企画をし、地域の小学生たちと野球をし、野球少年を増やす取り組みをしているのだという。
(小学生ならいいのか!)
盲点というか、簡単なことに気付かなかった自分を恥じると同時に、熊本西高野球部「野球普及班」の限りなく大きな可能性に心が躍ったのだ。
「高校球児が少年たちに野球を教える」、あるいは「一緒に野球をする」、たったそんなことのどこに興奮しているのだ? と笑われそうだが、それが「超画期的!」というところに、日本の高校野球の時代錯誤と閉鎖性がある。
高校生部員の「中学生」への野球指導を
厳しく禁じる高野連の“常識”
日本高校野球連盟(以下、高野連)は、高校生が中学生に野球指導することを厳しく禁じている。そんな競技は野球以外に聞いたことがない。世界を見渡しても、高校生が中学生に同じく大好きなスポーツを教えたら厳罰に処されるなど、他に例がないだろう。
だが、長い間、それが高野連の「常識」。誰一人、そのおかしさを指摘さえしない。日本中の高校野球部が、高野連の決めたルールに絶対服従している。高野連がシロだといえば、たとえクロでも「シロだ」という時代がずっと続いてきたのだ。