総務スタッフの声掛けで
1回あたりのエレベーター積載量がアップ

 次に取り掛かったのが、(3)まだ満員ではないエレベーターに乗車しない人が多いという問題だ。

 混んでいるとはいえ、詰めればまだ乗れる余裕があると思っても、自分からエレベーター内の人に「(奥に)詰めてください」とはなかなか言いにくいものだ。だからこそ、満員になる前でも乗車をためらう人は多い。

 しかし、もし第三者が「詰めてください」と言ってくれるのであれば、混んでいるエレベーターにも乗り込みやすくなる。

 そこで、エレベーターにまだ乗車できそうなスペースがある場合に、総務スタッフがエレベーター内の人に「詰めてください」と声を掛ける実験を行った。すると、エレベーターの1稼働あたりの積載率は上昇。最大積載量の70%を超えて発車したエレベーターの割合が、実証前の21%から32%、つまり1.5倍になった。

リクルートエレベーターエレベーター内に残っているグリッド線。この方法では積載率のアップにはつながらなかった

 ちなみに、声掛けではなく、床にビニールテープでグリッド線を引いてたくさんの人が乗り込むように促す実験も行ったが、ルールの順守率が高いとはいえず、こちらはあまり効果が出なかった。

 重量センサーを付ける案もあったが、手間もお金もかかる。当面は、総務スタッフが誘導する方法を続けるという。

 たとえ日常におけるオフィスのこまごました悩みでも、解消することで社員の効率を高め、働きやすい環境を生み出し、その結果会社全体から見ても良い成果が上がる可能性もある。当たり前のように思っている「不」を見つけ出し、頭を使い、検証し尽くして改善する。次世代の総務には、そんな新しい働き方が求められているのかもしれない。

 だが、総務の戦いはこれだけでは終わらない。エレベーター問題を解決した佐野室長を中心とした総務チームは、新たな難題に取り組むことになる。リクルート総務チームが挑んだ新たな課題は、また改めて紹介したい。

(ライター 相馬留美)