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第2世代「AirPods」はチップが違う 筆者撮影

 実は筆者は、2016年10月に使いはじめたAirPodsのバッテリーが劣化してきたため、まったく同じAirPodsを新調していました。しかし、このタイミングで第2世代のAirPodsが登場するとは……。

 ということで、AirPodsを使っていて最近電池が持たないなと思いはじめた方は、ぜひ第2世代AirPodsを試してみて下さい。

 おそらく今後もアップルやBeats、あるいはさらに他社から完全ワイヤレスヘッドフォンのいろいろなオプションが登場すると思います。しかし、AirPodsの体験を基本とした上での比較、という話になっていくと思いますので。

 と、なんとも悔しまぎれのおすすめをしてしまっているわけですが「AirPodsの新モデルについて」が今回のテーマです。

 まさかのワイヤレス充電パッドAirPowerの開発中止も伝えられてしまい、新AirPodsの売りの1つであるワイヤレス充電ケースの魅力も半減してしまったように見えますが、実はそうではない、ということが使って見て分かってきました。

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見た目は変わらないが中身が違う
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ワイヤレス充電ケースも従来同様だ

●音が大きくなった=音が良くなった

 新型AirPodsは、デザインも仕組みもまったく同じ。iPhone付属のEarPodsからケーブルを取り去ったデザイン、すなわち左右独立したイヤーピースの両方に、バッテリ、複数のマイク、そして心臓部となるアップルデザインのチップを搭載している点も変更ありません。

 ただしチップはこれまでのW1からH1へと変更されています。アップルは頭文字の意味を明言しませんが、これまでのワイヤレスチップから、よりヘッドフォンに特化して進化を遂げる道筋がつけられたと解釈しています。

 H1チップの新機能はBluetooth 5に対応した点。BLEモード(超電力モード)での伝送速度が倍の2Mbpsに向上しました。理論的には、同じ消費電力の小ささで、より太い帯域でデータが遅れるようになり、そのまま音声データの送出に使えば、より高音質の再生も可能になってくるという意味です。ただ、AirPodsのコーデックなどに変更はないようです。

 しかし第2世代のAirPodsを聞き比べてみると、低音の響きや高音の伸びが良くなり、音の粒がより際だって聞こえるようになりました。初代との違いは音の大きさで、15%大きな音が出せるようになったそうです。その結果、音がよく聞こえるようになったのではないかと思います。

 アップルから、AirPodsの内部構造やデータ処理に関する情報は特に公開されていません。

●スピードのメリット

 AirPodsはH1チップによって複数の進化を遂げています。その1つがスピードアップです。「イヤホンにスピード?」と疑問に思われるかもしれませんが、個人的には非常に大きな進化だと思いました。

 AirPodsは、Bluetoothヘッドフォン共通の課題だったペアリングや接続するデバイスの切り替えの問題を解決した製品でした。一度iPhoneとペアリングすれば、同じApple IDでログインするMac、iPad、Apple Watchでも、再度ペアリングすることなく、すぐ使えるようになるのです。

 しかも、音声を出力したいデバイスからAirPodsとの接続を選ぶだけですぐに切り替えられます。

 初代AirPodsの「すぐに」は10秒程度でした。それでもこれまでのBluetoothヘッドフォンの手間からすれば大きな進歩でしたが、H1搭載のAirPodsではデバイスの切り替えが5秒程度へと半分に短縮されています。

 筆者はMacで音楽を聴きながら仕事をしていて、電話会議の時間になってiPhoneにAirPodsをつなぎなおし、ふたたびMacに戻る、といった使い方を頻繁にしていました。そのためデバイス切り替え時間の短縮はAirPodsの進化の中で最もうれしいものだったのです。

 また遅延も3割削減されたとのことで、これからゲームサービスのApple Arcadeを楽しむ際などにも、より自然なサウンドをワイヤレスで楽しめることになりそうです。

●Hey Siri対応

 もう1つ、H1チップ搭載AirPodsの真価は、Hey Siriに対応した点。今まで耳をダブルタップして呼び出していたSiriを、声だけで呼び出せるようになりました。

 別にダブルタップでの呼び出しも、明示的で悪くなかったのですが、Hey Siri対応で、ダブルタップのジェスチャーを他の動作に割り当てることができるようになりました。

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ダブルタップに操作を割り当てる

 たとえば筆者は「右耳ダブルタップで曲を送る」「左耳ダブルタップで曲を戻す」と設定しました。普通のオーディオの再生コントロールは、

|◀ ◀  ■▶  ▶▶|

 というボタン配置になっていると思います。これをそのままイメージして左右の耳のタップにボタンを割り当てると操作を覚える必要もありません。なんだか、自分の頭全体が音楽のリモコンになったような感覚が、少し面白くなってきます。

 せっかくならモーションセンサーで首の左右の動きを割り当てられると良いのですが、さすがにそれは公共空間では“おかしな人”になってしまいそうですね。


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筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura