「いつでも交代する」と瀬戸氏は発言していた

――4月5日に瀬戸氏が会見し、退任の経緯などをめぐって、主張が食い違っています。

 瀬戸氏の主張は、退任時の(昨年10月31日の)取締役会の論議に誤解があったということ。しかし、報告書を読めば分かりますが、瀬戸氏はミスリードされていません。報告書には取締役会での本人の発言も記録され、決議の有効性に瑕疵がないと書いてある。われわれに争うところはありません。

 私が懸念するのは、瀬戸氏が経営者として適任だったのかという肝心の議論が、封鎖されている点です。彼がガバナンス問題を主張するのは、経営の実態に話題を及ばせないための策という印象です。

――瀬戸氏は退任する意思はなかったと主張しています。

 進退をめぐる発言は、どこまで冗談なのか、また本気なのかを疑わないといけない、とても重要なメッセージですよ。昨年10月の会食の場だけでなく、節目ごとに、「潮田氏に引き立ててもらったので、潮田氏が『もういいよ』と言えば身を引くよ」というのが瀬戸氏の基本的なメッセージです。その時が来たようだから、交代になった。

 決定的だったのは昨年10月22日の取締役会。2018年度上半期の(86億円の最終)赤字が報告され、「経営が立ち直るのか」という質問に対する瀬戸氏の答えが、なっていなかった。「ここまでかな」と、感じました。

 3年間の瀬戸氏の経営では、業績を上げることができなかった。業績を上げられない経営者は、今後も上げることができません。

――イタリア・ペルマスティリーザの中国企業への売却に米国の対米外国投資委員会(CFIUS)がストップをかけたことの影響は。

 CFIUSが売却に異議を唱える懸念は1年前から存在しており、悲観的なシナリオを用意すべきでした。そこを、あくまで交渉で突破できると瀬戸氏が判断したため、対応が1年は遅れたのです。

 瀬戸氏はペルマ社の売却を決めてから、同社の経営にタッチせず、やらせたことは膨大な資料作り。それで、イタリアの1000人以上の優秀な技術者がやめてしまった。瀬戸氏は着任時からペルマ社の経営について議論してこなかった。これはすごくリスキーです。

 瀬戸氏は入社前に決定されたことは、自身の責任ではないというスタンスでしたが、過去を踏まえて企業の未来の責任を持つことが経営者の役割です。そういう状態で引き受けたならば、経営者として改善すべきでしょう。