特に、枝野代表にこれでいいのかと問いたい。私は、代表が他党からの「引き抜き」を思わせる、立憲民主党の「当面の活動方針」を出したことを高く評価していた。これは、基本政策の違いから目を背けて、とにかく野党が1つにならなければならないという「野党共闘」とは一線を画し、まず野党の中で「トーナメント」を勝ち抜いて、安倍政権への挑戦権を得た上で、政権交代を狙うという戦略と思われたからだ。

 これは、現状ではベターな選択だと思った。「寄り合い所帯」への国民の不信感が根強い以上、野党共闘は次の選挙で、共闘しないよりは多少は議席数を伸ばせるかもしれないが、政権交代を実現するほどの勝利は望めない。野党はまず政策志向別に再編されなければ、国民の信頼を再び得ることはできない(第174回)。

 しかし、小選挙区比例代表並立制という条件下では、野党がバラバラだと勝てないというのは当然である。それに対する枝野代表の答えが、野党の「トーナメントに勝つ」ということだったのだろう。私は、これについてはいい判断だと思ったのだ。

ブレはじめた枝野代表
安易な共闘路線に未来はない

 ところが、枝野代表がブレ始めている。前述のとおり、衆院大阪12区補選では、事実上の共産党候補の応援をした。また、衆院補選・統一地方選後に、次期衆院選について「野党が競り合う小選挙区は一本化できるように、各党に呼びかけないといけない」と発言した。

 枝野代表がブレたのは、立憲民主党の支持率が低迷したからだ。だが、それは当然のことだ。2017年衆院選で共産党とSEALDsの残党などのグループの支援を得て躍進した立憲民主党だったが、それゆえに「何でも反対路線」を採らざるを得なかった(第186回)。

 だが、「何も変えてはならない」「昔のままでいろ」という主張は、55年体制下の「万年野党」として甘い汁を吸っていた時代の「夢よもう一度」と願う左派野党のコアな支持者以外には全く響かないのは当たり前である。

 政策通として知られ、若手の頃から政策立案の現場の修羅場を経験してきた枝野代表は、個人的には決して「何でも反対」の政治家ではない。しかし、民進党分裂から立憲民主党結党、衆院選での躍進の過程で、結果として「何でも反対」の人たちが彼の背中に背後霊のように乗ってしまった。