事業拡大の鍵を握る
中国事業の行方

 一方、デサントの成長の鍵を握るのは中国市場だ。石本社長も中国を「柱」の一つに位置付けるが、それでも伊藤忠側は「スピードが遅い」と言う。最大の不満はマンシングウェアの不振にある。デサントのブランド全体の売上高は中国で右肩上がりだが、ブランド別で見ればマンシングウェアのみが低調だ(図4)。

 マンシングウェアの商品企画や開発、生産、販売を行う現地法人はデサントの100%子会社だ。それに対し、他ブランドを取り扱う会社には、現地アパレル大手の杉杉集団や安踏体育用品、伊藤忠グループなどが出資参画する。このことが伊藤忠側に、「デサント単独では中国で成功しない」と指摘される根拠の一つとなった。

 ただし中国市場に注力することは、米ナイキやアディダスといった海外勢も同様だ。強力なライバルがひしめき、しかも景気減速が指摘される中国で、デサントが勝ち抜くことは容易ではない。伊藤忠自身も昨秋、出資する中国中信集団(CITIC)の株式を減損処理し、皮肉にも中国ビジネスの難しさを自ら露呈している。

 伊藤忠は3月、敵対的TOB(株式公開買い付け)を経てデサント株の4割を取得。資本力にものをいわせて経営権を掌握したが、同時にそれは経営責任という十字架を背負うことを意味する。

 伊藤忠側が送り込む新経営陣の下、デサントは新たな中期経営計画を策定する見通しだが、そこで具体的な改善策を示さなければならない。それを伊藤忠が実現できなければ「言うだけ番長」の誹りは免れ得ず、デサントは真の危機にひんすることになるだろう。