
欧州系金融機関に勤務しているせいか、筆者の周辺では、「ジャパニフィケーション」論争が真っ盛りだ。
「景気拡大局面でも政策金利を引き上げることが難しく、中央銀行が政策手段を持たないまま、次回の不況期を迎えること」と定義するなら、欧州はすでに「ジャパニフィケーション」に陥っているともいえる。
この議論は先進国経済の「長期停滞」論とも共通する。
米国などではその処方箋として、財政赤字拡大を容認する「現代貨幣理論」が注目されているが、その有効性はどうなのか。
「ジャパニフィケーション」の起点
不良債権処理先送りと需要かさ上げ
そのことを考えるにあたり、まずは、日本の過去30年の経験からどのような示唆が得られるだろうか。