2024.1.31
異次元緩和の「継続」こそが日本の個人消費足踏みをもたらした“真犯人”
新型コロナウイルス感染拡大による経済活動抑制が終わり、拡大すると予想された個人消費。しかし、現実には足踏み状態が続いている。停滞をもたらした主因は“異次元緩和”、日銀の超金融緩和政策の継続にある。そのメカニズムを解説する。
BNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト
1987年横浜国立大学経済学部卒業、住友銀行入行。大和投資顧問、第一生命経済研究所を経て、2000年11月より現職。共著に「金融緩和の罠」(集英社)、共訳にアラン・ブラインダー「金融政策の理論と実践」(東洋経済新報社)等。専門は、日本経済論、経済政策論。
2024.1.31
新型コロナウイルス感染拡大による経済活動抑制が終わり、拡大すると予想された個人消費。しかし、現実には足踏み状態が続いている。停滞をもたらした主因は“異次元緩和”、日銀の超金融緩和政策の継続にある。そのメカニズムを解説する。
2023.11.29
日本銀行が「賃上げから物価高への波及」が十分でないことを強調し始めた。これはマイナス金利解除をしないことを意味するのではなく、むしろその準備を示すものだ。弊害の大きなマイナス金利を解除した後も、超低金利政策の継続が不可欠であると、…
2023.10.4
2023年春闘における賃上げ率は定昇込みで3.6%。しかし、3%台の物価上昇率が続いており実質賃金はマイナスである。人手不足が継続する中、2%台のインフレとベアは定着しそうだが、労働移動を妨げる財政政策の先にあるのは「低成長、高インフレ」…
2023.8.2
日本銀行が7月28日の金融政策決定会合でYCCの「柔軟化」を決めた。背景にあるのは、日銀が当初想定していた以上のインフレ基調の定着だ。エネルギー価格高騰の影響が剥落した後も、賃上げの価格転嫁などが進みインフレ率2%以上が定着する。来年4月…
2023.6.7
岸田文雄政権は異次元の少子化対策を掲げる。財源は増税ではなく、歳出削減と医療保険など社会保険料の引き上げとなりそうである。皮肉なことに、社会保険料の引き上げがこれまで少子化を助長してきたことは否めない。
2023.4.5
シリコンバレー銀行破綻に端を発した金融不安は中央銀行による流動性大量供給などで落ち着きつつある。しかし、流動性の供給はインフレ抑制に逆行する。こうした齟齬がなぜ起きたのか、これから何をもたらすのかを検証する。
2023.2.14
日本銀行の次期総裁に、経済学者の植田和男氏を起用する人事案が固まった。だが、実は新体制発足前の3月にも、日銀が政策修正に動く可能性は決して否定できない。「植田新総裁」誕生前後のシナリオを大展望した。
2023.2.8
次期日本銀行総裁を雨宮正佳副総裁に打診と報道された。2月中には正式な人事案が国会に提示される。次期総裁の下で、13年1月に結ばれた政府・日銀の共同声明が見直される公算は十分にある。金融政策の柔軟化が進み、異次元緩和の修正が進むだろう。…
2022.12.7
日本経済の長期停滞をもたらした最大の要因は、企業がもうかってもため込んで、人的資本投資や無形資産投資を怠り、賃上げに消極的だったことにある。では、企業にそうさせた要因は何だったのか。分析・検証する。
2022.10.12
欧米主要国ほどではないが、日本国民も物価高に苦しんでいる。しかし、物価の番人たる日本銀行は、安定的な2%インフレ目標の達成が見通せないとして異次元緩和を続ける。黒田東彦日本銀行総裁の最後の賭けともいえるこの金融政策が、財政インフレ…
2022.8.17
先進国は自国の国債を安全資産として供給できる。それゆえ、危機の際に中央銀行によるファイナンスで拡張財政を実施できる。長期停滞にあえぐ日本が新興国へと転落していくとき、財政健全化が進んでいないと何が起きるのか。
2022.7.20
実質的に9年近くにわたって継続されたアベノミクスには功罪両面がある。功は景気回復の長期化と完全雇用の達成だ。では、罪の部分は何か。それは、超金融緩和と拡張的な財政政策の継続によってもたらされた二つの弊害である。
2022.6.22
実は値上げは比較的スムーズに進んでいる。ただ、黒田日本銀行総裁の発言が問題視されたように、家計は値上げを望んでいるわけではない。その原因の一つである円安をもたらす超金融緩和の固定化は、それ以外にもさまざまな弊害をもたらす。
2022.4.20
コロナ禍からの回復、ロシアのウクライナ侵攻で世界的にインフレ圧力が高まり、人々の関心が金融政策に向かいつつある。大衆心理の変化がこれまでの金融政策の在り方の見直しを迫ることになるだろう。
2022.2.23
米国もユーロ圏も既に実質GDPはコロナ禍前のピークを上回った。しかし、日本は2022年中も消費増税前に付けたピークを上回れそうにない。そこには大きな構造的問題がある。何が日本経済を停滞させているのか、検証する。
2021.12.29
2000年以前は、景気刺激策として財政政策を積極的に活用すべきではないとされていた。民間の資金需要を抑制する恐れがあり、また、長期金利が名目成長率を上回っていたことも背景にあった。しかし、今や名目成長率が長期金利を上回ることが常態とな…
2021.11.3
インフレ加速が日本と中国以外では懸念され始めた。米連邦準備制度理事会(FRB)の超金融緩和がもたらした商品相場の高騰が加わり、コロナ禍によるインフレが一時的といえなくなったことが背景だ。ゼロ金利解除、そしてテーパリング(量的緩和縮小…
2021.9.9
誰が次期首相でもスタートは高支持率。ただ、コロナ対応の医療体制強化ができなければ短命政権に終わるリスクがある。また、有力候補はいずれもアベノミクスから距離を置く。
2021.9.8
巨大テック企業や教育産業への規制を強化したことで中国への投資継続を疑問視する声が上がっている。しかし、テック企業で進む寡占や独占、経済格差が教育格差を通じて固定化する構造などは、先進国でも懸念される現象だ。その是正に切り込む中国の…
2021.7.14
前年の水準がコロナ禍の影響で低かったこともあり、米国の足元の物価上昇率は急上昇している。しかし、長期金利は逆に低下している。それはなぜなのか。物価上昇が一時的なものにとどまると思われること以外にもさまざまな理由がある。その背景を解…
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